テニス肘が安静にしても治らない…その原因とは?
ペットボトルのキャップを開ける、フライパンを持ち上げる、ドアノブを回す。何気ない日常動作のたびに、肘の外側に鋭い痛みが走る。テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、こうした「手首を使う動作」で痛みが生じるのが特徴的な疾患です。
名前にテニスと付いていますが、実際にテニスが原因で発症する方は一部に過ぎません。
大垣中央病院の解説によると、人口の1〜3%がテニス肘に罹患しているとされ、船橋整形外科病院のデータでは一般的な生活習慣の方で0.8〜1.3%、労働者では2.0〜12.2%に発症するとされています(出典:船橋整形外科病院)。
デスクワーク、料理、掃除、育児――手を使うあらゆる場面が原因になり得るため、誰にでも起こり得る疾患です。
約90%の症例は保存治療で改善するとされていますが、問題は「なかなか治らない」ケースが少なくないこと。手は日常生活で使わないわけにはいかず、安静を保つのが極めて難しい部位だからです。
この記事では、テニス肘の痛みが長引く原因から、自分でできるケアの方法、さらに肘だけの問題にとどまらない「全身からの影響」まで踏み込んで解説していきます。
テニス肘とは何が起きている状態なのか
テニス肘の正式名称は上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)。肘の外側にある骨の出っ張り(外側上顆)に付着している腱に炎症や変性が生じた状態を指します。
日本整形外科学会によると、原因となっているのは主に短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)という筋肉の腱です(出典:日本整形外科学会)。
手首を反らせたり、指を伸ばしたりする働きを担う筋肉で、パソコン操作、料理、テニスのバックハンドなど「手首を起こす動作」を繰り返すことで、この腱の付着部に微小な損傷が蓄積し、炎症が起こります。
テニス肘で痛む場所
テニス肘で痛みが出る場所は、肘の外側の骨の出っ張り(外側上顆)とその周辺です。肘の外側を指で押して痛みが再現されるかどうかは、テニス肘かどうかを判断するひとつの目安になります。
痛みが進行すると、肘の外側だけでなく前腕(肘から手首の部分)全体、さらに手首にまで痛みが広がることがあります。
「テニス肘なのに手首も痛い」という訴えは珍しくなく、肘と手首をつなぐ前腕の伸筋群全体に負荷がかかっているサインです。
テニス肘になりやすい人
30〜50代に多く発症しますが、特に40代以降が中心です。加齢に伴い腱の柔軟性が低下すると、同じ動作をしていても微小損傷が蓄積しやすくなります。
いでた整形外科クリニックの解説でも、40代以降で発症が増える理由として筋肉のしなやかさの低下が挙げられています。
女性の方がやや多い傾向があるとされており、家事や育児で手を酷使する頻度が高いことに加え、筋力が男性より弱い分、腱への負担が相対的に大きくなることが要因のひとつと考えられています。
興味深いのは、アマチュアテニスプレーヤーの約50%が経験しているのに対し、プロテニスプレーヤーでは5%にとどまるという報告があることです(出典:大垣中央病院)。
正しいフォームと十分な筋力を備えたプロは肘への偏った負荷がかかりにくく、テニス肘の発症率が低い。つまり、フォームの問題と筋力のバランスが発症に大きく関わっていることを示唆するデータです。
テニス肘が「なかなか治らない」理由
テニス肘は多くの場合、保存療法で改善するとされていますが、半年、1年と痛みが続く方も珍しくありません。
では、なぜ治らないのでしょうか。
理由① 手を完全に休ませることが困難
肩や膝であれば日常生活の中で使用頻度を大幅に減らすことも不可能ではありませんが、手は違います。
食事、着替え、パソコン作業、スマートフォンの操作。1日の中で手首を使わない時間はほとんど存在しないと言っていいでしょう。
安静が回復の基本であることに変わりはありませんが、「完全な安静が現実的に難しい」という構造的な問題が、テニス肘の治療を長期化させる最大の要因です。
理由② 肘の問題だけを見ている
テニス肘と診断されると、治療の焦点は肘の外側に向きがちです。
湿布、ステロイド注射、エルボーバンドの装着――いずれも肘の局所に対するアプローチとしては合理的ですが、痛みが繰り返される場合は「なぜ肘に負担が集中しているのか」という上流の原因に目を向ける必要があります。
実は、手首の回内(手のひらが下を向く方向への捻じれ)が習慣化していると、短橈側手根伸筋に常時ストレスがかかり続けます。
パソコンのキーボード操作やマウス操作は、まさに手首が回内した状態で行われる動作です。
回内位のまま何時間も作業を続ければ、肘の腱に負荷が蓄積するのは力学的に当然のことでしょう。
さらに視野を広げると、手首の回内は肩の内旋(内巻き肩)や猫背と連動して起こることが多いのです。
デスクワーク中に猫背になると、肩が内側に巻き込まれ、前腕が回内しやすくなり、結果として肘の腱への負荷が増大する。
こうした全身の姿勢の崩れが、テニス肘を難治化させる隠れた要因になり得ます。
理由③ ストレッチの方法やタイミングが適切でない
テニス肘にストレッチが有効であることは広く知られていますが、やり方を間違えると悪化のリスクがあります。
炎症が強い急性期に無理にストレッチを行うと、腱の損傷部位がさらに引き伸ばされ、回復を遅らせてしまう可能性があります。
ストレッチが効果を発揮するのは、急性期の炎症が落ち着いた後、腱の柔軟性を回復させる段階です。
痛みが強い時期に無理に伸ばすのではなく、まずは安静とアイシングで炎症を鎮めてからストレッチに移行するという順序が大切です。
テニス肘の重症度セルフチェック
テニス肘は進行度によって対処法が変わるため、自分の状態を客観的に把握することが重要です。
軽度(初期)
物を持ち上げる動作やタオルを絞る動作で肘の外側に痛みを感じる段階。
安静にしていれば痛みはなく、日常生活に大きな支障は出ていない状態です。
この段階であれば、セルフケアと生活習慣の見直しで改善する可能性は十分にあります。
中度(進行)
ペットボトルのキャップを開ける、ドアノブを回すといった軽い動作でも痛みが出るようになった段階。
握力の低下を自覚し始め、パソコン操作中にも肘に痛みを感じるようになります。
コップを持ち上げるだけでつらいという方も。この段階では専門家への相談を検討すべきタイミングです。
重度(慢性化)
安静時にも痛みがあり、夜間に肘が疼いて眠れない。
腕全体に痛みが広がり、何もしていなくても鈍い痛みが続く状態です。
1か月以上痛みが改善しない場合や、安静時の痛みが出ている場合は、整形外科での精密検査を受けるべきです。
自分でできるテニス肘のケアと予防
テニス肘の治療は「使いすぎを減らす」ことが大前提ですが、生活の中で手を使わないわけにはいきません。
ここでは、日常生活を送りながらできるケアと予防策を紹介します。
前腕伸筋群のストレッチ
炎症が落ち着いている時期に行うストレッチは、テニス肘のケアにおいて最も基本的かつ効果的な方法のひとつです。
肘をまっすぐ伸ばした状態で、反対の手で患側の手首を手のひら側にゆっくり押し曲げます。
手首の甲側から前腕の外側にかけて伸びを感じたら、その状態で30秒キープ。痛みが出ない範囲で、1日3〜5回を目安に行いましょう。
東邦大学医療センター大橋病院の情報では、手首をまっすぐ下に押すだけでなく、徐々に外側方向へ角度を変えていくと、約30度の位置で最も伸びを感じる部分があるとされています。
その角度でしっかりストレッチをかけることが効果的です。
前腕伸筋群の筋力トレーニング
ストレッチと並んで重要なのが、前腕の伸筋群を強化するトレーニング。痛みが軽減してきた段階で、徐々に取り組んでいきます。
テーブルの端に前腕を置き、手首だけをテーブルの外に出します。
手のひらを下に向けた状態で、軽いダンベル(500g〜1kgから開始)またはペットボトルを持ち、ゆっくり手首を反らして上げ、5秒以上かけてゆっくり下ろします。10回×3セットが目安ですが、痛みが出たらすぐに中止してください。
ポイントは「下ろす動作を特にゆっくり行う」こと。
この下ろす動作(エキセントリック収縮)が腱の修復を促進するとされており、リハビリテーションの現場でも重視されているアプローチです。
日常動作の工夫
物を持ち上げるとき、手のひらが下を向いた状態(回内位)で持つと肘の外側に大きな負荷がかかります。
持ち上げる際には手のひらを上に向ける(回外位)か、脇を締めて身体に引き寄せてから持ち上げるだけで、肘への負担は大幅に軽減されます。
パソコン作業時は、マウスを握る手首の角度を見直してみてください。
手首が極端に回内した状態で長時間操作を続けていると、前腕伸筋群に持続的なストレスがかかります。
手首をニュートラル(自然な位置)に保てるエルゴノミクスマウスの導入や、手首の下にリストレストを置くことも検討の価値があります。
エルボーバンド(テニス肘用サポーター)
前腕の伸筋群をバンドで圧迫することで、腱の付着部にかかる牽引力を分散させるのがエルボーバンドの役割です。
装着位置は肘の骨の出っ張りから指2〜3本分手首寄りが目安で、きつく締めすぎると血行不良を起こすため、適度な圧迫力で装着することが大切です。
湿布の使い分け
テニス肘に湿布は有効な対処法のひとつですが、急性期と慢性期で使い分けが必要です。
痛みが強い急性期には消炎鎮痛成分を含む冷感タイプの湿布が適しており、慢性期には温感タイプで血流を促進する方が回復を助ける場合があります。
ただし、湿布はあくまで対症療法であり、痛みの根本原因を取り除くものではない点を認識しておく必要があるでしょう。
テニス肘と「全身の姿勢」の関係
整形外科での一般的なテニス肘の治療は、肘と前腕の局所に焦点を当てたアプローチが中心です。
安静、湿布、注射、サポーター、ストレッチ。これらの治療で改善する方は多いのですが、「何度も再発する」「半年以上治らない」というケースでは、視点を広げる必要が出てきます。
手首の捻じれは肩と背骨から来ている
CUREPRO三郷店のテニス肘ページでも解説されている通り、手首の回内(手のひらが下向きに捻じれた状態)は、単に手首だけの問題ではありません。
肩関節の内旋(内巻き肩)が起こると、前腕は連動して回内方向に引っ張られます。さらに内巻き肩は猫背と密接にリンクしており、猫背は骨盤の後傾と連動している。
つまり、骨盤が後傾 → 背中が丸くなる(猫背) → 肩が内側に巻き込まれる → 前腕が回内する → 肘の腱に過剰な負荷がかかる、という一連の連鎖が存在するのです。
この運動連鎖の上流にある問題を解決しないまま、下流にある肘だけを治療し続けても、根本的な改善には至りにくい。
テニス肘が長引いている方ほど、この「姿勢全体の崩れ」に目を向ける価値があります。
肘だけでなく全身から整える意義
CUREPRO三郷店では、テニス肘に対して4つのステップでアプローチしています。
①骨盤を整える → ②背骨(猫背)を整える → ③内旋肩を解消する → ④手首・肘の関節の捻じれを矯正する。
肘の局所だけでなく、姿勢の土台から段階的に整えることで、テニス肘の再発リスクを下げようとする考え方です。
GL整体・NS整体・AB整体・パーフェクト整体の4つの施術法を状態に合わせて使い分け、毎回の施術前に身体の状態を評価してからアプローチを決定するため、「前回と同じ施術を機械的に繰り返す」のではなく、回復の段階に応じた施術が受けられるのが特徴です。
こんなときは整形外科を受診すべき
テニス肘は多くの場合、保存療法とセルフケアで改善に向かいますが、以下のような場合は整形外科での精密検査を優先してください。
安静時にも強い痛みがあり、夜間にも疼く場合。1か月以上セルフケアを続けても改善の兆しがない場合。肘の腫れや熱感が顕著な場合。
腕全体にしびれが広がっている場合。握力が明らかに低下している場合。
テニス肘と似た症状を呈する疾患として橈骨神経管症候群や肘部管症候群があり、これらは神経の問題であるため、筋肉や腱へのアプローチだけでは改善しません。正確な診断を受けたうえで、適切な治療方針を立てることが重要です。
テニス肘でお悩みの方はCUREPRO三郷店にご相談ください
湿布を貼り続けても、サポーターを巻いても、安静にしていても痛みが引かない。そうした方は、肘の局所的な問題だけでなく、手首の捻じれや肩の内旋、猫背、骨盤の傾きといった全身の姿勢バランスに目を向けてみてください。
CUREPRO三郷店(旧:サンクス整体院)は、テニス肘に対して骨盤から手首・肘までの運動連鎖を一貫して整える施術を提供しています。
初回は約1時間をかけて、カウンセリング・検査・施術・説明を行い、あなたのテニス肘がなぜ治りにくいのかを丁寧に評価させていただきます。
平日は20時まで、土日・祝日も18時まで受付しています。ご予約はお電話(048-999-5415)またはLINEから承っております。